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Jet Boy 父を求めて

カナダ映画 (2001)

『君は一人じゃない(Du er ikke alene)』は、思春期の映画のカルトだが、『父を求めて(Jet Boy)』も同程度に絶大な人気を誇り、この種の映画の中で必ず引き合いに出される作品だ。そうした人気は、恐らく、少年売春というショッキングなテーマを、セックス描写を全く排し、少年の悲しい運命と、そこから脱出しようとする必死とも言える強い願望にほろりとさせられるからであろう。もちろん、主演するブレンダン・ネイドン(Branden Nadon)の存在があって、この映画の魅力が最大限に発揮されていることは言うまでもない。

ネイサンは、母親(重症の麻薬患者で生活能力が全くない)の生活費と麻薬代を工面するため、13才という年令にもかかわらず、自分の体を売るしか暮らしていくすべがなかった。そして、14才の誕生日を迎えたちょうどその日、母は麻薬の過剰摂取で他界する。最悪の人生から逃げ出すチャンス、しかも孤児院には入りたくない。そこで、ネイサンは、西の大都市バンクーバーを目指す。途中のドライブインで出会ったブーン(Dylan Walsh)と無理やり同行するうちに、ブーンの中に理想の父親像を見るようになるネイサン。その切実な願いが断ち切られてそうなになった瞬間に示す、強烈なリアクション。深い絶望。そして、最後に訪れるブーンによる救済。実に感動的な映画である。

ネイサンを演じるブレンダン・ネイドンは、役柄上悲し気な顔が多い。眉間に刻まれた深い縦じわが、苦痛に満ちた幼い人生を強く感じさせる。顔立ちはとても端正だ。1986年の生まれだが、声変わりをしていないし、表情も変に大人びていないので、撮影時には12-13才くらいだっとと思われる。とても優れた映画である割には、観る機会は少ないと思うので、最初に作成したあらすじを、全面的に書き直し、最大ボリュームとした。


あらすじ

夜遅く、ネイサンが、バーガーショップで好きな自動車のプラモデルを組み立てていると男が寄ってくる。そして、タイトル。黒画面のバックにうめき声が入り、次のシーンでは全裸のネイサンがシーツを下半身にかけてベッドで仰向けになったまま、目覚めている。ベルトで叩かれた背中の痛みに耐えているのか? 服を着たネイサンに、男が「ごめんよ」。「いいんだ」。「ハグしてくれる?」。ハグしながら、「坊やの名前は?」。口をにごすネイサン。家を出て、2階のベランダから男の車に小便をひっかける。叩かれた腹いせか? 公衆トイレに入り、石鹸で顔と頭髪をごしごし洗う。昨夜の汚れを洗い落さないと… Tシャツをめくり、背中を鏡に写し、「ひどい」と一言。一晩中 体をもてあそばれた上に、こんなにひどく叩かれるとは。それで稼いだのは、わずか200カナダ・ドル(15000円程度)。それでも、他のどんなアルバイトより高収入だ。こうでもしないと、家の維持費と母の麻薬代が都合できないのだ。これほど悲惨な状況はない。
  
  

バーガーショップで朝食をとりながら、自宅の電話代の請求書と、昨夜の稼ぎとを比べて見ている。家計費のための小児売春なのだ。すると、窓を叩く音がする。知り合いの麻薬ディーラーの若者だ。「やるって?」。「ああ。練習台代わりだとよ」。これは、ネイサンが刺青を頼んでいたのだ。テーブルの上のお金を見て、「また、ケツの穴 売ったんか?」「お前のケツが、こんな金になるとはな」「200ドルもある」。さっと取り上げる若者。「僕のだ。 謝礼だから」とネイサン。「あいにくだな、ボーイ・スカウト。電話料の請求は待たせとけ」と言い、「200ドル、プラス、貸しだ」「かなりヤバいから、まず水で薄め、順に濃くしろ」とネイサンのママ用の強い麻薬を渡す。そして、そのまま、若者の先導で、刺青師の仕事場に向かう。「お前のママ、俺のこと まだ好きかな?」と訊かれ、「他のと、交換したいよ」。当然、本音だ。ネイサンを見た刺青師は、「ガキじゃないか」。自分で考えた刺青の絵を見せて、「絵みたいに してよ」と頼むネイサン。「悪くない。どっちの腕か決めたら、袖をまくれ」。施術が始まる。痛さに顔をしかめながら、「学校に、遅れちゃう」と焦るネイサン。「何年生?」と訊かれ、「8年(中学2年)」。「これで、女の子にモテモテだな」。若者がすかさず、「女の子は嫌いだよな、ネイサン?」と意地悪く突っ込む。「もちろん、好きさ」。
  
  
  

その日、学校では体育の授業があった。2組に分かれて試合をすることになり、シャツを着たまま組と上半身裸組とに分けられたが、その時ネイサンは運悪く後者に。背中にはベルトの跡があり、腕には刺青のガーゼとあっては、とても裸にはなれない。頑として脱がないので、生徒達ともめ殴られる。鼻血を出したまま教師に呼びつけられ、「どうした、ネイサン? 原因は、お前か、奴らか?」と訊かれ、肩をすくめる。「分かって やるから」にも、「どうかな」。「言ってみろ。一日でも待つぞ」。仕方なく、前向きに脱いで、「医者が、アレルギーの検査を」と弁解。ガーゼをめくった教師が、鼻で笑う。「誕生日なんです」とネイサン。「誕生日おめでとう」。「問題に?」。「シャツを着ろ」。話の分かる先生だ。背中は見られずに済んだ。
  
  
  

ネイサンが家に戻る途中、隣の主婦に「あんたのママ、昨夜も大騒ぎ」と言われ、「ごめんなさい、ロスさん」。「あんたが 謝ることじゃ」。「今日が、誕生日なんです」。「昼食が なかったら、ウチに いらっしゃい」。いい子なので、同情されているのだ。家に帰ると、ドアは開けっ放し。自分の部屋には、見知らぬ女性が麻薬を吸って倒れている。ママに、「僕の部屋から、追い出してよ」と言っても「テディ・ベアだと思って」。ひどい母だ。「お願い」との言葉に、目をぎらつかせて「手に入れた?」。仕方なく、もらった麻薬を渡す。「頼ってばかりね」「冷蔵庫に、ケーキが」と母。ネイサンが、「なぜ、吸わないの?」と訊くと、「口は 出さないの」。仕方ないので冷蔵庫を見に行くと、ケーキの切れ端が残っている。ネイサンは、食べ残しのケーキのかけらにろうそくを4本立て、火を点けて、吹き消すのだった。侘しい14才の誕生日だ。その時、母は麻薬をスプーンに入れてライターで加熱、それを直接静脈に注射するという愚かな行為に。結局、麻薬の過剰摂取で死亡する。
  
  

警察署のシーン。ネイサンに会う前に、2人の刑事が話している。「父親がいるそうです。調べてますが」。「児童局に、連絡は?」。「誰か、寄こすとか」「自分のせいだと 思ってます」。そして、ネイサンのいる取調室へ。名前を名乗ってから、「なぜ、そう思うんだい、せがれ?」と尋ねる刑事。「せがれじゃない」。「まあな、言葉のあやだ」。「なら、ちゃんと聞いてよ」。「なぜ、君のせいだと?」。「死んじゃえと願ったら、死んじゃった。本気じゃなかった」(1枚目の写真)。そして、席を立つと、「僕のせいだと知ったら…」(2枚目の写真)。刑事が、「ママの胸が張り裂ける」。「どうして、分かるの?」。「せがれが 二人いる」。ネイサンは、「体、売らせる? まさかね」と言って座り込む。思わず同情したくなる一瞬だ。廊下に座っていると、児童局の女性がやってくる(3枚目の写真)。母が死に、父はいないので、このままだと孤児院送りになる。とっさに逃げ出すネイサン。
  
  
  

ネイサンは、徒歩とヒッチハイク(恐らく)でバンクーバーへ向かう。途中にあったドライブインに入り、テーブルに座り、西行きのドライバーが入ってくるのを待っている。手持ちは僅かなコインだけなので、座っているだけだ。そこに入ってきたのが、東から進入してきた中年の男性。脈があると思い、テーブルに押しかけるネイサン。こういうことには慣れているので、ネイサンはあけっぴろげだ。すぐにニコニコと話しかける。そこに、ハンバーグが持ってこられる。「西に行くの?」。「東だ」。「来た時、西に向かってた」。お腹が空いているし、ハンバーグは分けてくれそうにないので、コーヒー用の砂糖を、袋から口に入れるネイサン(2枚目の写真)。気まずくなり、ハンバーグをくわえて男は出て行ってしまう。
  
  

男は、電話ボックスに入り、電話をかける。「待て。何番って?」。鉛筆が折れたので、近くに停めた自分の埃だらけの車体に指で電話番号を描く。男が2本電話をかけ終わって気付くと、車に描いた番号が消えている。そして、さっきの少年がそばに立っている。つかつかと寄っていき、襟をつかまえ、「番号が要るんだ」と詰め寄る。度胸のすわったネイサンは、「ひどい記憶力だ」。「覚えてるんだろうな?」。「何と交換する?」。「お前の命だ」。「そんな人じゃない」。襟を離されて車に駆け寄るネイサン。彼は大の車好きで、しかもヴィンテージ・カーときている。ドアを開けて勝手に運転席に乗り込むと、ハンドルを握り、「カッコいい」。男は、仕方なく、ネイサンを助手席に移らせて出発する。
  

ネイサンは、さっそく「バンクーバーまで、せいぜい8時間かな。きっと7時間」と言うが、男は、「そんな遠くには行かん」。「きっと行くさ」。「これは、長距離バスじゃないじゃないぞ」。時速75マイル(120キロ)で走っているのを見て(カナダでは最高100キロ)、ネイサンは、「スピード少し落としたら?」「おせっかいだよね」。男:「バンクーバーには、何が?」。「父さん」〔嘘〕。「そいつも、脅すのか?」。「しないよ」。「じっと見るな」。「他にすること、ないもん」。「何て奴だ」。「お腹 空いた」。ドロップを渡される。「これ、咳止めドロップだ」。「チーズ・バーガーだと、思え」。暇をもてあましたネイサンが、サイドボードを開けると、そこにピストルが。「これ本物?」と言って触ると、引き金に触れてしまう。発射の反動で、ネイサンの額に銃が当たりかなり出血。男:「よかったな、大したことない。心配するな」。「ごめんなさい、おじさん」。「ブーンだ」。「ごめんね、ブーン」。「血まみれだな」。「僕なら、大丈夫。僕は、ネイサン」。何となく、2人の心が通い合った。
  
  

ブーンは、自分の生まれた町に寄る。モーテルの部屋には、ベッドと寝椅子がある。「どっちがいい?」とずうずうしく訊くネイサン。当然、「お前は、あっちだ」と寝椅子へ追いやられる。ブーンがベッドに入った時、ネイサンも入りたそうにしていたが(変な意味でなく、大人と一緒に寝るのは慣れている)、電気を消されて、すごすごと寝椅子へ(1枚目の写真)。朝。ネイサンは慣れた手つきで朝食を作る。「味は?」。「うまい」。その後、「ネイサン、番号が要る。重要なんだ」。「教えられない」。「なぜだ?」。「教えたら、僕は捨てられる」。「捨てるもんか、約束する」。「大人の約束なんか、当てにならない」(2枚目の写真)。子供の時から、苦労してきただけのことはある。食事後、「自分を 大切にしろ」「すべてを与えたら、何も残らない」「分かったか?」とブーン。頷くネイサン(3枚目の写真)。
  
  
  

ブーンは、「やることがある」と出かけていく。実は、20年前に喧嘩別れした父親が昏睡状態になっていたのだ。何も理解できない父に向かい、「野良犬を見つけたよ。俺と違って、噛みつかない。しっぽも振るんだ。気に入った」と独り言。ネイサンは、車の窓に “ブーンが知りたがった電話番号” を指で描いてやって、町を眺めに行く。そして、同年配の子が野球をしているのを見ている。そこに、ネイサンを探してブーンがやって来る。「用事 済んだ?」。「一晩泊ったら、明日は一緒にバンクーバーだ」。「電話番号 知ったのに?」。「乗りたいんだろ?」。野球を見ているだけなので、「なぜ、やらない?」と訊くブーン。「やり方、知らない」。悲しい現実だ。「棒でボールを打つだけ」「知らなくたって出来る」とやらされることに。そこに、ブーンの昔の恋人エレンが、息子ロイドの様子を見にやって来る。久しぶりに会った2人。少し話しただけで、「会えて良かった」と、ネイサンと一緒に去っていくブーン。エレンは、仲良く話しながら歩いていく2人を見て、てっきり親子だと思う。
  
  

モーテルに戻ると、ブーンは出発の用意を始める。「泊まるって、言ったよね?」とネイサン。「お前は泊まれ、俺は出る」。「心が砕けたの?」。「そんなトコかな」。「『恋だけが心を砕く』。ニール・ヤングの歌だよ」。「俺は この町が嫌いだ。以前からな」。「お父さんに、会う。そのために、来たの?」。「そうだ」。「お父さん、喜んだ?」。「親爺はクソ野郎だ。楽しい再会などない」。「僕に当たらないで。ただの好奇心」。「他人に、構うな」。そこに思わぬ来客が。さっきのエレンがやって来て、「家に来て」と誘う。
  
  

エレンの家で、ロイドと遊ぶネイサン。彼は車のことなら何でも知っている。おもちゃのミニ・カーでも。ブーンはエレンと話していて、エレンが未亡人になっていることを知る。そこに2人が現れるが、ネイサンはいつもの癖でビールをラッパ飲みしている。「何、考えてる?」とブーン。「何が?」とネイサン。「何がだと?」。叱られた訳が分からず、「余ってると思ったんだ。まだ、4本あるから」と答える。「そういう問題じゃないの」とエレン。「ごめんなさい。聞けばよかった」とネイサン。「あなたの年じゃ、ビールは飲まないのよ」。「ブーンは、時々すすらせてくれる… 釣りの時に」。「ブーンって呼ぶの?」。「たまにパパ。後はブーンだよ。パパなんて、堅苦しいって」。ネイサンは、ブーンを “パパ” にしてしまった。
  
  
  

4人でバーガーショップに入る。早速たばこに火を点けるブーン。「ブーン。ここ、禁煙だよ」と教えるネイサン。ネイサンがロイドとゲーム機に行った後で、「いい お子さんね。あなたの一挙一動を見てる。素直で、自慢していい」。今さら、否定できないブーンは、「あの子には驚かされる」。「彼のママは?」。「ネイサンは何て?」。「何も」。「麻薬の過剰摂取で、死んだ」。実は、映画ではもっと前から分かっていることだが、ネイサンが聴取されていた時、ブーンも警察署にいて、刑事との会話をマジックミラーから見ていたのだ。そこに、ロイドの年上の悪友が2人入ってくる。「お前のガールフレンド、誰だ?」と訊かれ、「あのタフガイ見えるだろ? ガールフレンドのパパだ」。「後で、マリファナやらないか? 教会の前で7時に会おう」。
  
  
  

外に出たネイサンを追ってブーンが来て、「俺が、親爺だと言ったのか?」と問い詰める。「成り行きで。あんたに 似てるし」。「どこが? ぜんぜん 似てない」。「少しは似てる」「ホントのこと話す?」。「いいや」。その後、一緒に店に入る。そこでエレンとロイドが楽しそうに争そっている。「ネイサン、助けて!」と笑いながら頼むロイドに、「君のママだろ」と睨みつける。ネイサンには羨ましいのだ。その後で、ブーンと雑誌売り場に行き、ヴィンテージ・カーの写真を見るネイサンは実に幸せそうだ。「大好きな車は?」と訊かれ。「GTO、ジャッジ、69、コンヴァーティブル」(ブーンの車)。「それは 嬉しいね」、「これ、欲しいか?」(雑誌のこと)。「要らない。本物に乗ってる」。
  
  
  

ネイサンとロイドは、映画に行くと言って家を出る。夜、悪友と会うためだ。2人の乗った車が近づいて来た時、ネイサンは「あんまり気が乗らない」と言う。こういう連中は見慣れていて、うんざりなのだ。ロイド:「彼ら、クールなんだ」。ネイサン:「クールには、見えないけど」。車が来て、早速酒を渡される、慣れていないロイドと違い、ネイサンの飲みっぷりは本物だ。暗くなり、マリファナを紙でうまく巻けない悪友。「できるまで待ってたら、年くっちまう」と相棒が言ったのにつられて笑ったネイサンに、「なら、できるのかよ?」。ネイサンは、手馴れた手つきできれいに巻く。しかし、回し吸いしてもネイサンはパスする。父の職業を訊かれ、「刺青アーティスト」と答える。そして、自分の刺青を見せる。ネイサンが1人でいると、年上の1人が寄ってくる。「僕は、好きな時に飲む。隠れて酔っ払うなんてしない」とネイサン。「ロイドは、楽しんでる」。「初めてのビールだから、当然だろ?」。さらに、「僕を ずっと見てるね」。彼は、とっさにネイサンにキスする。ネイサンは、「ママと 一緒に住んでた」「ママが 麻薬に溺れるのを見てきた」「男友達も溺れてた」「僕も、何度かやってみたくなった」。そして、最後に「僕は、いい子になりたい」「それだけ」と付け加える。ネイサンが、色々な面で “いい子” であることが分かる切ない場面だ。
  
  

ところが、その後で、一番のワルが泥酔して町の自慢の「世界一の毛玉」に車をぶつけて転倒させ、パトカーを大破させてしまう。警察署に連行される4人。理由があって、警察署に行きたくないとエレンに打ち明けるブーン。「息子でしょ?」。それに対し、「ネイサンは息子じゃない。彼はそう言ったが…」と弁解。「あの子、何なの?」「あなたは、何者なの?」。ブーンはエレンの信頼を失ってしまう。エレンの助けが得られないので、ブーンは、仕方なく、危険を冒してネイサンを引き取りにいく。モーテルに一緒に戻ったブーンは、ぶっきらぼうに、「荷物をまとめろ。朝、町を出る」とネイサンに命じる。「荷物は ないよ」。「じゃあ、寝ろ!」。「どこ、行くの?」。「外だ」。「ひどいよ。ロイドに、さよならも言えない」(1枚目の写真)。「目的地に着いたら、ハガキでも出せ」。「一発 やってくるの?」。「黙れ」(2枚目の写真)。そして、「バンクーバーまで、乗せてやる」「そこまで。後は、サヨナラだ」。悲しそうなネイサンの顔(3枚目の写真)。
  
  
  

ブーンが戻ると、もうネイサンはベッドで寝ていた。ネイサンを横に転がして寝る場所を確保するブーン。その時、背中の傷を見てしまう。早朝。目覚めたネイサンは、どうすべきか考え込む。ブーンを父のように慕うようになっていたので、どうしても別れたくなかった。そこで、満足してもらいたい一心で、ブーンの体に手を伸ばす。その瞬間、ネイサンは、ベッドから引きずり降ろされ、床に投げ出された。「やりたきゃ、セックスしていいよ」「僕 上手だよ」「何しても、タダでいい」と必死ですがるネイサン。「止めろ、止めるんだ!」。ブーンがネイサンの腕をつかんで立たせる。「彼女には ロイドがいる。僕を 見捨てないで」。腕を突き放すブーン。服を着込むと、無言で出て行くネイサン。捨てられ、絶望し、あきらめrたのだ。
  
  
  

ブーンはエレンの家を訪れ、「彼、いる?」と訊く。いないとの返事に、もし来たらとお金を渡す。エレンは、その冷淡さに怒ってお金をつき返す。「ちゃんと話したろ。分からないのか?」との言葉に、エレンからビンタをくらう。「姓すら 知らないんだぞ。助けられるか?」。「努力したの?」。「父親が いるんだ」。「違うわ、ブーン。探し求めて、あなたを 見つけたの」。「これから大仕事なんだ。分かってくれよ。失恋した淫売小僧に用はない。俺のように、ちゃんと世渡りしていける」。「まだ、ほんの子供なの。止めなきゃダメ!」。一方、ネイサンは、ヒッチハイクでバンクーバーへ。行く宛ても、お金もないので、街角に座り込む姿が痛々しい。生きていくすべは失われた、前やっていたように体を売るしかないと覚悟する。そして深夜、街角に立ち、寄ってきた車に「欲しければ、手に入るよ(What you see is what you get.)」と声をかける(3枚目の写真)。
  
  
  

ブーンもバンクーバーに着いていた。深夜、40キロもの大量の麻薬売買を決行する。実はブーンはカナダ連邦警察官で、大々的なおとり捜査の最終局面だったのだ。ところが、密売相手に電話をかけていると、遠くでネイサンが車に乗り込むのが見える。ブーンは、途中までおとり捜査を主導するが、途中から地元警察に任せ、自身はネイサンの後を追って、変態男のマンションへ。そして、守衛から車の持主を訊き出し部屋に直行する。一方、ネイサンは、連れ込まれた部屋で、「じゃあ、始める?」と切り出していた。「子供は大勢来たの?」。「いや。君が初めてだ」。「そうなの。僕は、初めてじゃない」。さらに、続ける。「おじさん、感じいいね」「何しても、いいからね」「ホントだよ」。しかし、言ってる割には体が抵抗してしまう。「おい、どうした」「楽しもうじゃないか」。嫌がるネイサン。そして、バスルームに閉じこもる。
  
  
  

ブーンは、男の部屋に突入し、「しゃがむんだ! 少しでも動いたら射殺する」と命令。バスルームに向かって「ネイサン、いるか? ブーンだ、開けろ」と声をかける。中に入り、「暴行されたか?」と訊くブーンに、「僕、パパが いないんだ」「ママに聞いたけど、知らなかった」「そんなことってある?」「僕、一人ぼっちなんだ」と泣き崩れる。ブーンは、そんなネイサンを招き寄せ、抱き締めると、「心配するな。もう離さん」と暖かく話しかける。
  
  

一緒にマンションを出ると、パトカーが何台も急行してきた。一瞬ひやりとするネイサン。しかし、すべてを統括しているようなブーンの態度に二度びっくり。車の中で、ブーンに麻薬捜査の話を聞き、「てっきり、麻薬の運び屋かと」と打ち明ける。「何で、そう思った?」と言葉を返され、返答に詰まる。そして、カナダ連邦警察の身分証を見ながら、「カッコいい」。そしてブーンの顔を見る。「何だ?」。「お腹 空いた」。失笑するブーン。車が向かった先は、エレンの家だった。ドアをノックすると明かりが点き、ネイサンがいるのを確認したエレンが2人を暖かく迎え入れる。4人家族の誕生をうかがわせるハッピーエンドだ。
  
  
  

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